ちょくじょうのブログか?

ちょくじょうか?

ディテクティブヴァーサス妄想(正直読ませる目的ではないため読みにくい)

半年以上前にTLに安斎都がやってきたんですよね(熱心な方をフォローしたという意味)。そのあれこれで一時期精神を支配されきってしまった妄想があったんですけど、それを最近また思い出したのでここに置いておきます。

 

 

ディテクティブヴァーサスは安斎都と古澤頼子のユニットです。初出はドリームLIVEフェスティバルなんですが、2015年8月の「怪盗公演 美しき追跡者(チェイサー)」では”メインストーリーと平行して進行するもうひとつの戦い”のようなものすごくおいしい立ち位置を用意されていました。

第一ステージにて「美術館の客・ヨリコ」がなんとなく登場したかと思えば、

第二ステージにて「少女探偵・ミヤコ」が登場し、長髪の女性を追っているという立場が明かされます。

続く第三ステージでは「トラレーン城の従者」に潜入捜査中のミヤコと、「良家の子女」にて意味ありげな雰囲気を醸し出すヨリコが登場し、

そして最後の第四ステージにて、ついに「ディテクティブヴァーサス」として、平行して展開されていたもうひとつの戦いの存在を明らかにしました。

とまぁ、探偵にあこがれながらもへっぽこ・なのにとても強い芯がある安斎都と、博識で美術的教養を兼ね備えた古澤頼子さんが”初登場特訓後の衣装が怪盗風味”だったことで誕生したという、成り立ちこそゆるふわですけど結構印象に残る立ち回りをしているユニットです。すき。

 

発端はもう思い出せません。たぶんTLで誰かが言ってるのを見たんでしょう。あるとき、「怪盗ヨリコが身分を隠して探偵ミヤコの助手になったって設定」っていうアイデアがやってきて、僕の脳みそを支配しました。そこからはもう『ディテクティブヴァーサスに至るまでの物語』が始まっちゃうわけですよ。

 

 

近代西欧風の石造りの町が舞台となります。おおよそ現代レベルの都市インフラを想像していますが、一部モバマスの「怪盗公演」が持つ”いや泥棒多すぎやろ”みたいな世界観を受け継いでます。町には張り紙によって指名手配がなされ、新聞が媒体としていまだ主流って感じだといいな。

200年ほど前の国王が美術芸術金銀財宝、とにかく衣食足りたのちに人間が欲するようなものを集めることに積極的で、国策にまで踏み出したことで、都市部には特にそういった贅沢な品々が集まることになったんですね。その影響で泥棒や盗賊も集まり、それに伴って美術館の警備技術も高まりって感じで、今現在も町全体が盗られることを防ぎ防がれるものを盗みという空気があり。なかにはアイドル的にパフォーマンスを交えながら盗みを行う盗賊まで登場し、美術館に予告状が届けば賭けが始まるようにまで…

そんな世界で最近ウワサなのが、正体不明の『怪盗』という存在。名前も不明、残されたのは「たぶん女だった」という複数の目撃証言のみ、侵入不可能な場所などないと言わしめるほど異次元に高い技術を持ち、何より奇妙なのが「何が盗まれたのかわからない」こと。『盗人界に新星か』という見出しに噂話を重ねる人々を見向きもせず、少女たちは歩いていく。

 

通りに面したビルの一室で叫び声が響く。

「じゃあ、独立はできないんですか!?」

声の主は探偵見習いのミヤコ。デスクを挟んで向かい合うは、現役探偵のマナミ。ミヤコが探偵見習いとして修行するその面倒を見ている。すなわちミヤコの師匠にあたる。「探偵見習いとして現場経験3年、なおかつ16歳から受験が許可される資格試験にも合格した今! ついに念願の、自分の探偵事務所が手に入ると思ったのに~!」と涙を浮かべながら語るミヤコに、「確かにきみは、ギリギリではあったが、考えられる限り最速でプロの探偵の資格を得た。…資格はな。フフ、しかし法人設立となると話は別だ。この国では法人設立には18歳以上の責任者が必要だと法律で決められているから」と笑うマナミ。「探偵になるための条件だけを見ていたばかりに…」と嘆くミヤコに、「しばらくは雇われのプロとしてウチで働くのが、最も安全でいいだろう」と諭すマナミ。

そんなこんなで「ミヤコ単独で依頼を受けることも可能になった」状態でマナミの事務所に残るも、やはりマナミの事務所に相談に来るクライアントはマナミの仕事を求めてくるわけなので、ミヤコにとっては仕事のない日々(もちろん事務作業などはする)が続く。「単純に、営業が足りないんだよ。将来的に独立するなら、仕事を見つける方法も今のうちに学んでおかなきゃ」と言われたミヤコは、翌日から町に繰り出すことにする。そのなかで、長髪の美しい女性、のちにヨリコと名乗る女性と出会うわけなんですね。

『何かお困りのことはありませんか。人探し、未解決事件、大泥棒の挑戦状! 未来の名探偵が全力で調査!』などという的外れなビラを配っていると、長髪の美しい女性(ヨリコ)がやってくる。「道案内をお願いしたいのですけど、おいくらですか」ミヤコは間髪入れず「無料で連れて行って差し上げましょう!」「それでは、職業安定所があれば。それと、付近で衣服のオーダーメイドを取り扱っている店に…」と条件を告げる女性。案内を終えると、それを見ていたひとりのおばあさんが話しかけてくる。「困っているのですけれど。ウチの猫を探してほしい、なんてことでも、よろしいのかしら」ミヤコは「もちろんですよ!」

そんなこんなで無事猫を発見できたミヤコは、帰路にて、最初に道案内をした女性(ヨリコ)と再び出会う。「猫は見つけられたのですか」「はい! あのおばあさんは、愛猫の性格や好物をよく把握していましたから。猫の気持ちになってやれば、居場所を推測するのは難しくはありませんでした!」たった半日で薄汚れた格好になったミヤコを見て、懐からミヤコのビラを取り出し、「あなたは…プロなのに、雇われなのですか」と聞く女性。「いやぁ…恥ずかしながら、独立して事務所を構えるには18歳以上の責任者が必要でして…!」と頭をかくミヤコに、女性は「探偵事務所は、どんなお仕事をなさるのですか」などと質問をしてくる。「実は私、諸事情でこの町に住むことになったのですけれど、まだ仕事を見つけられていないのです」「……」「そこで相談なのですが。……私を、探偵事務所に雇ってはいただけないでしょうか」

今日出会ったばかりの女性に雇えと言われてすぐさま了承するミヤコではなく、翌朝事務所へ来てくださいと伝えてその日は別れる。そして何やかんやあってマナミとの顔合わせと、しばらくミヤコのサポートで働くことの了承を経ると、自らを「ヨリコ」と名乗った女性は、さまざまなシーンでずば抜けて高い能力を披露する。ヨリコはミヤコとの関係を大事にする様子で、ミヤコの仕事(少しずつ依頼が来るようになった)にも同行するようになり、あっという間に3か月が過ぎた。

そして、ヨリコの18歳の誕生日の夜に、ヨリコのほうから「これで、独立できますね」と。「へ?」と素っ頓狂な声を上げると、ヨリコは顔を赤らめ「す、すいません…勝手に、二人で事務所を構えられたら、なんて考えちゃってて…」って言うわけ。「でも、いいんですか…?」「はい。ミヤコさんとなら、私…」ってなって、とんとん拍子に『ミヤコの探偵事務所』がオープンするのね。「看板にヨリコさんの名前は入れなくてよかったんですか?」「はい。私は、ミヤコさんのサポートがしたいんです」

 

ミヤコは念願だった自分だけの探偵事務所を優秀な信頼できる助手とともに設立できてよかったーって感じなんですけども、自分を慕ってくれているとはいえヨリコはやっぱりまだ怪しい存在で。出自も明かさなければ意図も不明で、だけど人には話したくないことの一つや百個あるものですねって無理やり納得するミヤコだけど、果たしてヨリコの心中やいかにってところで第一話が終わる感じです。

まぁ、ヨリコの正体は『怪盗』で、いろんな思惑の末に、ある目的のもと正体を隠してミヤコにすり寄ってるだけなんですけどね。

 

 

第二話は「まだまだへっぽこだけどやる気とやさしい心とまっすぐで強い芯を持った新米探偵ミヤコ」と「ミステリアスで秘密は多いけど非常に優秀でミヤコをしっかり支える探偵助手ヨリコ」が、独立して初めてのお仕事として、とある建物の内情調査という依頼を受ける感じです。いかにも行政でやってろって感じの依頼はあくまで建前で、本音は「その建物は、ある盗賊団のアジトである可能性が高い。証拠と実態を調査してほしい」。このあたりで探偵と警察の関係が説明される感じです。ざっくりと「あいつら怪しいな、でも警察は憶測で動いちゃいけないな」→「探偵にあいつらのことを調べてもらおう、あわよくば証拠を確保してもらい、逮捕まで動こう」って関係が成り立っています。逮捕できれば警察の勝利・盗品が取り返せたら警察の大勝利。もちろん盗むこと自体を失敗させられていれば警察の完全勝利です。

そんなこんなで調査が開始されるんですけど、ミヤコが探偵見習いとして培った3年で定石通りのチェックシート的な調査を行うのに対し、ヨリコはほとんど”自分が盗賊だとしたらこう動くだろう”という観点を持っているとしか思えない速度で調査をすいすいと進めていく。「初めて会った日、猫を探してほしいと依頼を受けてましたよね? あの日の感覚を思い出してください」というヨリコに従うかたちで、ミヤコも本調子を取り戻していくんですね。ヨリコは”この罠をしかけるならここ”という定石の裏をかいた部分に設置された罠に気付くことができたり、そこから”ここに罠を置くことができるレベルの人間なら隠し場所にはここを採用するだろう”という推測まで立てられるとか、八面六臂の大活躍で依頼をスピード解決、さらにはすでに移動された盗品の行方のアタリまでつけて、『ミヤコの探偵事務所』は一気に警察の信頼を勝ち取ります。

 

独立後初めての大仕事を終えたふたり。お疲れ様を交わしていると、去り際に刑事のサナエが「ったく~、こーいう情報は早いんだから。ねぇ、ミヤコちゃんたち。明日、新しいクライアントが来ることになったから」「ふむふむ、どんと来てください!」「調子に乗らないの。言っておくけど、”今日完遂された依頼の様子をすでに把握”したうえでやってくるクライアントだからね」「…?」「大物が来るってコトよ。ま、頑張んなさい」ってな感じで第二話が終わり。

 

 

 

第三話は「盗賊からの予告状が届いた街はずれの美術館の警護補佐」という依頼。「盗人の視点で計画を先読みする能力に長けた二人」であると評価されたミヤコとヨリコのもとに、本来駆け出しの事務所には来ないような大型の依頼が舞い込んでくるという話です。予告された品は『シリーズ;ピュアドロップの赤』という衣装ということで、それを聞いた瞬間、ヨリコがとても執念深い表情をするんですね。

ここで何も知らないミヤコに、ヨリコから『シリーズ;』という存在の説明がされます。まぁ基本となるのはモバマス時代に僕たちが奪い合った懐かしき衣装たちのことなんですけど、この世界における衣装は『シリーズ;』と呼ばれ、異世界からの漂流物的な扱いを受けています。古来より世界各地の熟練の服職人たちは「気が付いたら作っていた」と口をそろえて言い、自分の作り上げた衣装を見つめる。立てかけられているのは、その時代の技術、その土地の文化に一切接触しないような一着の衣装。自分で作ったという意識はあるものの、作り方が自分でもわからない。そんなことが、世界各地のさまざまな時代で起こっていた。

興味を持った研究家が、この言い伝えを取材した。すると、”この現象”は”隔てられた遠い土地7か所”で”同時に発生した”ということ、そして”同時に作られた衣装”は”色のベースだけが異なる同じ形のもの”だということがわかりました。情報伝達のしようがない地理的・文化的隔たりを持った7か所の土地で、いずれの地域にも属さない性質を持つ「ロッキングスクール」という衣装が、7色同時に作られた~みたいな感じです。そして”その現象”は、「ラブリーアンジュ」「フルールフレーバー」と、衣装の形状を変えて、歴史の中で何度か発生してきたって感じです。こうした不思議な衣装のことをまとめて『シリーズ;』と呼び、マニアや研究家の間では異世界の秘宝として大事にされています。離れ離れに発生した7色の衣装を一か所に集めると願いが叶うとか、なんかそういう伝説まで付与されてる感じです。

 

『怪盗』の目的は、まさにこの『シリーズ;』というわけです。とはいっても盗むわけではなく、実は本物の『シリーズ;』(当然レプリカが存在する)には、7色それぞれに一か所ずつ”図形”が描かれていて、その図形を解読すると、たとえば『シリーズ;ロッキングガール』であれば『ロッキングガール』という衣装の本当の製法がわかるようになっていて、『怪盗』はずっと、『シリーズ;』に描かれた”図形”を収集し、『シリーズ;』の真の姿をよみがえらせようとしているのでした。みたいな……。

 

疲れた。

 

いろんなどうでもいい設定がたくさんあるんです。そんなこんなで街はずれの美術館の警護にあたるミヤコとヨリコは、大泥棒ヒカルと遭遇するわけです。で、なんか第4話にまたがって大泥棒ヒカルと相棒カンナ VS 警察+ミヤコ・ヨリコ 回がありまして。『シリーズ;』の隠し場所を変えたり、待ち伏せをしたりするも、結局『シリーズ;ピュアドロップの赤』は盗まれてしまう。まぁヨリコはちゃっかり”図形”の入手には成功していたりして。あと、ヨリコの『怪盗』の姿をここでミヤコが目撃しちゃいます。ミヤコは悔しい思いをしながら次の依頼ではーって精を出す。

 

 なんだか、漫画を描く場合だと「ここは伝わんなくてもいいや。気付いた人がアッと理解できたらその人は楽しめたねって感じで…」って具合に限界まで省略しちゃうんですけど、文章だとどのあたりまで省略すればいいかわかんないからついつい冗長になっちゃいますね。

 

第五話でもまたなんか小さい依頼が来ます。細かく考えてません。ただ、ミヤコが活躍する感じかなって思っています。ヨリコの本当の目的をわかったうえで言ってるのかそれみたいな名セリフがウワ~ンと出て、ヨリコの心が少し揺れる。

 

第六話では、再び『シリーズ;』絡みの依頼がやってきます。今度は師匠であり同業者であるマナミとの共同であたる「盗難事件の起こった物件の追跡調査」みたいな感じです。この話では、ヨリコにちょっとずつ変化が出てきてくれたらいいなって思います。ヨリコは『シリーズ;』の収集という目的のための手段としてミヤコのもとに いるわけなんですが、ミヤコと出会う前からも危険であった『シリーズ;』を求める冒険、その危険にミヤコをさらすことに抵抗を覚えるようになってくる感じ です。目的のための手段でしかなかったミヤコに情が移っちゃう感じですね。で、当のミヤコはそんなことつゆ知らず。ヨリコさんには秘密があるんでしょう し、探偵としての血がうずくことはうずくけれど、言いたくないことを掘り返すのはやっぱり許されませんね! 

 

まぁそんなこんなで7話・8話と、ミヤコは「ヨリコの後ろめたい感情に気付きながらも、助手として信頼しつつ、探偵としての経験値を積み上げていく」、ヨリコは「ミヤコを目的のための手段として割り切ることができなくなっていく」を軸に探偵業をこなしていきます。推理の解説パートでは、ミヤコが自信たっぷりに講釈を垂れるのを、ヨリコが証拠品を提示して裏付けるみたいなスタイルが確立されていって、かっこいいのかかわいいのかよくわからんなこのコンビ、、、しゅき、、、みたいな感じになっていきます。そして8話でついにヨリコが”ミヤコの安全を優先してしまったがために盗賊に出し抜かれる”という失敗をしてしまいます。

 

そして9話で、探偵業のなかでヨリコの負担が大きすぎたかもしれないと思ったミヤコが、ヨリコとふたりで息抜きに遊びに行く話になるんですね。お仕事を忘れて遊園地に行き。ふたりが笑顔の写真を撮るんですね。一枚目はヨリコの表情が硬かったので、「もう一枚、お願いします!」とミヤコ、触れたヨリコの手を握り、やわらかい、心からのほほえみをたたえたヨリコが写真に残される。夕暮れ時、楽しかったですね、と両手にクレープをもって隣に座ってくるミヤコに、ヨリコは「どうして探偵になろうと思ったんですか…?」って聞く。

「最初は、ただのあこがれでした。どんな難事件も華麗に解決! 解けぬ謎なし、逃すホシなし。幼いころ読んだ小説の名探偵にあこがれていたんです。でも、実際に探偵見習いになってみて、現実はそんなに華やかじゃないってわかりました。そこで、もう一度その小説を読み直してみたんです。すると、幼いころはかっこよさにしか気付けなかった名探偵の、本当の正義の心が見えてきまして。ただ謎を暴くだけじゃなくて、そこに至ってしまった犯人を追い込んだ世界のずるさ、卑怯さ、きたなさとか…。自分がつらくなるだけなのに、全員の心に寄り添って、何か変えられなかったかって悩み続ける名探偵は、正直、かっこよくはありませんでした。でもその名探偵の姿を通して、語りかけられた私たちは…起こるかもしれない悲劇を、防ぐことだってできるかもしれない。そう思ったんです! 私が探偵になったのは、立ち会った出来事を、そこに潜む謎を解き明かして、次に起こる変えられるかもしれない出来事を変えたいからです!」

 「……」

 「…実はそのシリーズ、たくさんの海賊版が出てまして。そのなかで、名探偵が一度だけ、事件が起こる前に事態を解決した話があるんです。プロットとしては”見せ場”がないということになるので、あまり誰もやろうとはしないタイプの話でした。でも私は、その話が一番好きなんです。…名探偵が、犯人になるはずだった男と、ベンチに隣り合って会話する。ただそれだけの話でした」

 

「ヨリコさんに悪の心がないことは、私が一番よく知っています」

 

 そしてその言葉を聞いたヨリコは、ついにミヤコの存在が大きくなりすぎたこと、ミヤコを巻き込まないために離れなければならないこと。要するに、「大好きだからこそ、一緒にはいられない」ということに気付いてしまう感じです。

 

 

第10話は、そんなヨリコとミヤコが離れ離れになる話です。デートから帰ったその夜、ヨリコは4話でお披露目した怪盗の姿で、月が差し込む事務所の窓際にて、ミヤコにすべてを打ち明けます。

「私の正体は、このごろ世間から『怪盗』と呼ばれているものです。名前はありません。ヨリコというのは、ミヤコ…あなたに近づくための偽名です」

「私の目的は『シリーズ;』を完成させること。現在世界にひとつだけ完成された『シリーズ;』があります。『リボンパーティ』の真(トゥルー)…あの美しさを、この世界に、と」

「ミヤコに近づいたのは、探偵業の情報網が入手しやすいと思ったからです。私の一切の姿が公表されていないいま、独立を企てる新米探偵のミヤコは、潜入するのに最適でした」

 「ミヤコなら騙しとおせると思いました。最年少でプロの資格を取ることのできた人間…経験が浅いならよし、優秀な人間ならなお騙りやすし。そう思ったのです」

「……私には、親がありません。幼いときに死別して。そんな私に、ミヤコ。あなたは…暖かすぎました」

「私には目的があります。大きな、私を私たらしめる目的が。そこにあなたはいません。あなたを抱えるのは、あなたを抱えたままでいることは、私にはできない」

 

「ミヤコさん。今までありがとう」

 

そんなこんなでヨリコは、涙ながらに「さようなら」を告げます。ミヤコにはヨリコを止めるすべがありません。満月の夜、事務所の窓からひとりの怪盗が飛び降りて、そのまま消えてしまうのを、見ていることしかできなかった感じです。

そして夜が明け、ヨリコが去ったいま、『ミヤコの探偵事務所』は経営責任者を失ったことになるので、ミヤコは一時的に休業することにしました。デスクの写真立てに残された、昨日のデートで撮った二人の写真、笑顔のツーショット、もっとも幸せだった瞬間を、手に取ってじっと見つめたあとに、そっとデスクに伏せるんですよね。事務所の入り口に休業を示すメッセージを貼り付けようとしていると、背後から「依頼があるのですが」という声が聞こえて次の話に引っ張る感じ。

 

 

11話。

ミヤコが独立後、初めて単独で挑む依頼であり、この妄想の最後となる依頼です。

舞台はとある孤島にある古城。そこの支配人が『シリーズ;』の収集家であり、定期的に『シリーズ;』の展覧会を開催しているということで、シーズンには毎日50人ほどの来訪者が集うという。今回のクライアントは、先月その展覧ツアーに向かった夫がまだ帰ってこないと訴える主婦であった。「拉致監禁でしたら、探偵よりも警察に…」と言うと、警察にはすでに報告済みで調査も済ませたという。いわく、「ご主人は滞在期間を延ばすとおっしゃっていた。本人との面会も行い、そのサインがこちら」と。

で、まぁ調べてみるといろいろ裏があるにおいがしたわけ(あまり細かく考えていない)なので、ミヤコは展覧ツアーに参加するかたちで潜入捜査を行います。

依頼内容は『あの古城で何が行われているかを調べてほしい』

 

一方そのころヨリコは、別の場所でこの依頼のことを知る。『シリーズ;』の展覧ツアー自体は数年前から行われており、当然ヨリコも知っている。どころか過去にしっかり潜入も行い、”図形”の確保も終えている。その結果、レプリカの展示も多いことすら確認済。そのためヨリコはこの島をチェック済みとして無視していたが、今年のツアーには、『シリーズ;』7色を完成させることで作ることのできる『真』の展覧も行うという文字が。加えて、多くの探偵事務所に”ミヤコのもとに届いた依頼と類似した内容の依頼”が同時に届いていること、ミヤコもその島に向かうことを知り、ヨリコも少し遅れるかたちでこの展覧ツアーに参加することを決める。

 

一足先に島についていたミヤコは、展覧ツアーの表の顔を味わいます。ミヤコには真贋の区別がつかないのですごいですねぇって感じ。そんなこんなでミヤコ含む潜入探偵たちは、知らず知らずのうちにこのツアーの真の目的に巻き込まれていく。

 

 

で、12話。

いろいろあってミヤコはじめ多くの探偵たちが地下牢獄に閉じ込められてしまいます。ツアーの本当の目的は、『シリーズ;』収集の障害・ライバルとなる人間を減らしてゆくこと。ツアーを行うことで個人情報を収集し、混ぜた真贋に特異な反応を示した人間をカメラで解析。毎ツアーで0人から3人、地下に幽閉し、『シリーズ;』についての情報を吐かせるっていう悪逆非道なあれです。

 

なんやかんやあって、ミヤコは「閉じ込めようとするならどういう作りにするか」「情報を吐かせるために牢屋をどんな構造にするか」みたいな相手の立場に立つあれで脱出できるわけですね。

一方ヨリコは、古城の真の目的=『シリーズ;』関係者の口減らしの証拠を集めてゆく。そのなかでミヤコが牢屋に閉じ込められていたこと、そしてそこを脱出できたことを知り、安堵。『ミヤコの探偵事務所』に登録されているエマージェンシーコード(警察との協力関係にある探偵事務所は、密かつ即で連絡可能なコードを持っており、状態に応じて二隊まで同時に出動が要請できる)を使って警察に緊急連絡し、事件は収束に向かってゆく。

 

で、牢から脱出できたものの古城のガードたちに追い回され、もうだめだってなったところで、ヨリコの「窓から飛んで!」という声! 散りゆくきらびやかなステンドグラスの向こうに、ワイヤーで向かってくる怪盗姿のヨリコ。ミヤコを空中でキャッチし、近くの屋根に降り立ち、無言で見つめあう二人。言いたいことのすべてを押し込んで、「…すでに支配人のもとには、警察隊が来ています、ミヤコさん」「…なら、幕引きは近いですね」「えぇ」「行きましょう、ヨリコさん」

 

 

で、13話! 妄想の最終話です。

ヨリコが集めた証拠をもとに、ミヤコは古城で行われていた真実を警察に告げ、 晴れて支配人は逮捕されるって感じです。しかし支配人も、さすが悪役ということもあって「これ以上は勝てないことはわかった。負けだ。負けてやる。ただしお前たちを巻き込んでな」と、古城の至るところから発火させるスイッチを押します。そしてまぁみんな避難するわけなんですけど、展覧されていた『シリーズ;』を保管している部屋だけは放火装置を切っており、支配人の計画としては「『シリーズ;』の買い手ならいくらでもいる…精巧なレプリカだって高価さ…この混乱から逃げ出したあとも、それを売って、再び『シリーズ;』を集めてやる」って感じだったんですけど、そこはすでにヨリコが手を打っており、レプリカではない本物の『シリーズ;』だけを安全な場所に移したあとで保管部屋の放火装置をオンにしていて、支配人の計画は瓦解というかたちになりました。警察たちが避難をしているころ、ミヤコとヨリコは古城を見下ろせる丘の上に逃げてきていた。

「今回は本当にキツい依頼でした…! まさか本当に事件に巻き込まれてしまうなんて、探偵ってこんなこともあるんですね!」みたいな感じで、あの別れがなかったかのようにミヤコとヨリコは話すんですよね。でも二人ともわかっている。『怪盗』の正体は警察にも完全にばれてしまった。一切の証拠なく、ただ「たぶん女だった」という目撃証言しかない『怪盗』が、どんな証拠で何の罪に問われるか? 今の時点では『怪盗』は逮捕される理由はないが、『シリーズ;』をめぐる事件が広く知られてしまった以上、少なくともヨリコが再びミヤコの助手として過ごすことは、きっとできない。ふたりはもうやり直すことなく、別々の道を歩むしかなくなってしまった。

「しばらく探偵業は休みます。また私が18歳になったら、新しく助手を募って再開するでしょう」「責任者不在ですね。気付いたのは飛び出したあとでして…ミヤコさんには、いろいろとご迷惑をおかけしました」「いいんですよ。ヨリコさんにも、やることがあるのですから…」

 

丘の頂上で、煙立ち上る古城を見下ろしていると、気が抜けたミヤコがふらっとよろけて、それをヨリコが抱き留めるんですよね。「す、すみません。実は昨日から、ずっと眠れていなくて…」と謝るミヤコだが、体勢を直そうとはせずにヨリコにもたれかかったまま。楽しくて幸せだったふたりの一日からの突然の別れと、孤独と不安のなかで脱出した緊張からの、ひさしぶりのヨリコのぬくもりに触れて、ついに感情が決壊してしまう。

「あの夜、私は…去ってゆくヨリコさんに、何も言えませんでした。ヨリコさんの気持ちが、痛いほど分かったから。だから、これは仕方ないことだって。でも本当は…もっと話したいことがあった。もっと聞きたいことがあった。行きたい場所も、見たい景色も、まだまだありました」

「ヨリコさんと、もっと、一緒にいたかった」そう告げるころには、ミヤコはヨリコの胸で玉のような涙をボロボロと流していた。

時間がたって、少し落ち着いたミヤコが、ヨリコに聞く。「ヨリコさんは、何を思っているんですか?」

一陣の風がふたりを撫でる。

「……今回の事件。展覧ツアーのうたい文句にあった『シリーズ;』の真。あの古城にあったそれは、確かに本物でした。でも、宝物庫のそれを見たとき。私の心は、ほとんど動きませんでした。人々をひきつけてやまない異世界の漂流物、その真の姿は、私が人生をかけて追い求めていたもの…だったはずなのに」

そこで、やっとわかった。大切なものは、求めていたものよりも先に来たことを。私が『シリーズ;リボンパーティ』を見て感動したあのとき。私の手は、まだ生きていた両親と…。

「……ミヤコさん。ここに来るまで、本当に長かった。そして本当に多くのものを、ないがしろにしてきました」そう言ってヨリコは立ち上がる。ミヤコはすでにすやすやと寝息を立てていた。「決着をつけてきます。私は『怪盗』ですから」

「…さようなら。ミヤコさん」そう言って『怪盗』は、ひとり丘を下り、火の手が激しさを増す古城へと歩いていく。

 

ミヤコが目を覚ましたとき、ミヤコは船のうえにいた。古城があった孤島からの帰り道。ミヤコは見渡す船室にヨリコの姿がないことを確認し、よろけながらも甲板に出て…眠ってしまうまえには燃えていただけだった古城が、爆発でもあったかのように崩れて、なおも火の手がそこかしこにあるのを見る。小さくなってゆく島の影を、ミヤコはずっと、何を思うでもなく見続けていた。

 

そして一年弱が過ぎます。ミヤコは18歳になるまでのおよそ1年間、『ミヤコの探偵事務所』は休業して、再びマナミのもとで修行を積んでいました。このとき、ミヤコに新しい探偵助手がつきます。ムツミ(氏家さん)とキヨミ(冴島さん)の二人です。冒険心とワイルドにあふれたムツミと、自制心と常識力をそなえたキヨミは、探偵見習としてともにミヤコのもとで修行を積み、プロの資格取得をめざす予定です。ミヤコは早くも師匠という立場に! 役所とのやり取りで、あと2週間で営業許可が下りるとわかり、本格的に旧事務所の環境整備に取り掛かるミヤコたち(定期的に掃除ぐらいはしていた)。

ミヤコが応接室に入ろうとすると、カギが開いていることに気付く。しかしミヤコは、あまり警戒せずに入ってゆく。するとそこには、ヨリコがいるわけなんですね。

 

「復帰、おめでとうございます。『探偵さん』」

「…生きてたんですね、『怪盗』」

 

ヨリコは古城での一件依頼、世間からほとんど退いていた。ほとんど空白の一年。その間ヨリコは、ひたすら『シリーズ;』の情報だけを集めていたと話す。

そんなわけだからムツミとキヨミは、ヨリコのことをほとんど何も知らない。

 

「……ミヤコ。私は、これからも『シリーズ;』を探し続けます」

「……」

「その過程で、あなたと対決することもあるでしょう。もしそうなっても、私は諦めません。今日はその宣戦布告に来ました」

「……ヨリコさん。それはこっちのセリフです」

「…」ここでヨリコがめちゃくちゃ嬉しそうで泣きそうな顔をするの。

「私はこれからも探偵として。立ちはだかる謎も事件も… 救えるかもしれない人も。全部、向き合っていきます!」

「……わかりました」

一度は同じ道を歩み、支えあった。だけどふたりは、想いあうからこそ、再び隣り合うことは、きっともうない。

ヨリコは逃げ続ける。いつか捕まえてくれることを願って。

ミヤコは追い続ける。いつか思いが届くことを信じて。

「次に会うときは敵同士ですね」

「はい。覚悟してくださいね。何も盗ませませんから!」

「ふふ…」「……古城が燃えた日」

「?」

「ミヤコは私に聞きましたね。『何を思っているのですか』と」

「……」

「……捕まえられたら、教えてあげます」

そして、あの月夜に、涙で別れたあの窓へとヨリコは立つんですね。

ミヤコの「……いつか、また」という不完全な言葉に

ヨリコは「…待っています」って微笑んで答えて、昼下がりの通りへと飛び降りるんですね。で、ムツミとキヨミが駆け寄って窓から見てみるも、ヨリコはどこにも見当たらない。「今の人は何ですか!?」詰め寄るキヨミに「……因縁あるライバルです! きっとこの先、何度も立ちはだかることなるでしょう!」で、まぁそもそも盗ませないから捕まえることもできないんですけどね~って感じでデスクを見たミヤコはあ~!!って叫ぶ。見ると、二人で撮ったあの写真、その写真立てが空になっており、代わりに一枚のカードが挟まれてる。

『盗みました。怪盗ヨリコ』

「ふ…ふふふ…早速やられちゃいましたー! ムツミちゃん! キヨミちゃん! 怪盗ヨリコを追いますよ!!!」「えぇ!? 見失いましたけど!?」「飛び降りたように見せかけて屋上かもしれません! さぁ、行きますよー! 待ってろ怪盗ー!」

昼間の通りに響くひとりの少女探偵の声。怪盗と少女の、長い長い追いかけっこが始まりました。

 

こんな感じで、怪盗を追い続ける探偵と、探偵を待ち続ける怪盗という関係性が構築され、なんやかんやで『ディテクティブヴァーサス』に至るおはなし妄想はこれで終わりって感じです。名無しだった『怪盗』が、ミヤコに近づくために用いたヨリコという名前を以後も使い続けたりとか、今回の妄想を経ることで『ヴァーサス』がやっと成立するとか、まぁいろいろと考えながらFoo!ってなる要素を詰め込んだ結果がこんな雑多なクソ長文になってしまいました。正直『シリーズ;』とかいう設定はもっとスマートにできると思う。あとあまり考えてないって部分を考えることはこの先きっとないと思います。知識がたりない。

 

ディテクティブヴァーサスは百合。公式の「こんなところまで追いかけてきてくれたの?」は完全に百合フィルターメガネを放り投げてきてる。実は怪盗公演よりも前に二度、ディテクティブヴァーサスがドリフとかそのへんで出てきてるんですけど、そこでは「今日限りの共闘」っていうめっちゃおいしいセリフ吐いてるんですよ、僕は金田一少年がたまに高遠と協力戦線築いて事件に巻き込まれる系の話が大好きなんですよあ~もうたまらん。ここまで読んでくれた人がいたとしたらお疲れさまです、ありがとうね。

次はどんな記事を書くことになるのかな。わかりません。ではまた会う日まで。震えて眠れ。