「tyo」じゃなくて「cho」じゃないの?

ハイ、僕もそう思います

「秘密のトワレ」デレステ実装やったー!

 2016年8月9日15:00、デレステに「秘密のトワレ」が実装されました。楽曲解放コミュのキャラクターへの踏み込みの深さもさることながら、個人的に素晴らしいと思ったのはやはり「秘密のトワレ」MVの出来栄えでした。すごすぎました。デレステで初めてトワレに触れる人、そして以前からトワレを知っている人、そのどちらに対しても引っかかるものを残す。そんな意地を感じるMVでした。

 「秘密のトワレ」がすごく好きだってことはひとつ前のブログ(「秘密のトワレ」ほんとすき - 「tyo」じゃなくて「cho」じゃないの?)に、未整理な状態でさんざん書きました。ただ、めちゃくちゃ読みづらいな~って自分でも思ってたので、そういうのを整理する目的でも、再び「秘密のトワレ」について書こうと思います。

 いうまでもなく僕は「秘密のトワレ」のフルバージョンを知っており、これから書く内容も、そのフルバージョンを踏まえた話です。そして、書いた内容が正解であるとも思っていません。でも、こういうことするのめっちゃ好きなんです。

 

 

1、歌詞について

 少し調べてみると、歌詞のコピーはだめでも、引用(主となる意見が別にある状態での添付)ならいいらしいので、のっけながらココガスゴインダヨ話をしていきます。

 前のブログで、僕は「秘密のトワレ」のことを、「歌でミステリーをやった歌」だと言いました。事件が発生し、その事件がなぜ起こったのか、そしてこの事件はいったい何だったといえるのか。「秘密のトワレ」はたった一曲のなかで、ミステリーを完成させている歌だと思うのです。

~イントロ&1番~
my secret eau de toilette…
 
バスタブに獣脂<じゅうし>満たし 裸でつかれば
あたしをあたしたらしめるもの滴る
chu chu chu… 人体実験chu♡

 

飽和したらアルコール 溶かして撹拌
残留物は恥辱的なほどあたし
君をたぶらかす香りに投与して
さぁさmagical showの幕があがる タラーンタラーン

 

麝香に隠した秘密の分子
気が遠くなるほど吸って
君はあたしに夢中になる

 

my secret eau de toilette
la la love potion 脳下垂体へ届け
瞳孔が開くその瞬間を見せて
my secret eau de toilette
じきに君は falling loveの兆しみせる
恋は化学式 君には きっと狂気の沙汰<crazy things>

 

Youtubeの試聴動画や、デレステで扱われている部分の歌詞です。
ここで語られている内容は、要約すると「〈あたし〉が相手をオトす媚薬を作り、それを〈君〉に投与した」です。ミステリでいくと「事件が起こった」部分になります。かなり細かいところまで説明してくれているので、状況はなんとなくわかります。ただし大部分の情報が”〈あたし〉による解説”のような、実際にカメラで見ることはできないようなものであることはちょっと気になります。
 この段階ではまだ、この歌が事件であることすら気付くことはできないのではないでしょうか。デレステや試聴だけなら「お、なんだか歌詞はケミカルで危ないカンジだな~でもそれでいて曲の感じはキュートで甘い…いいね!」あたりに落ち着くのが自然だと思います。まぁ常に予想を超えてくるギフテッドの一ノ瀬志希が歌っているのだから、ちょっとした事件性ぐらいは感じられるでしょうけども。
 
~間奏~
抽出された我が高貴なる分子たちよ
対象のジョビ器官を制圧しフェニルエチルアミンを分泌させよ
3 2 1diffusion

 

ここはメロディが乗っていないセリフ部分になります。ここにメロディが乗っていないことの意味や、このセリフが語り掛ける対象について、詳しくは後述します。

 

~2番~
駆け引きも告白も cupid<クピド>の戯れ
あたしは時間<とき>を無駄にはしない主義なの
chu chu chu… 恋は暴走chu♡

 

両方の羽を奪い 鎖でつなぎたい
主の訪れだけを焦がれて待つの
あたしなしではもう 渇望も癒えずに
さぁさchemical showの幕があがる タラーンタラーン

 

吐息がうなじをくすぐるように
もっと近くもっと深く吸って
君のリビドーを解放せよ

 

my secret eau de toilette
la la love sceneはいつどこではじめようか
友達ごっこは今日でおしまいにしよう
my secret eau de toilette
ずるいって言われると いいの君が好きよ
恋は化学式 だけどこれはserious love

 

 2番から語られるのは、〈あたし〉の心の中です。僕が考えるミステリの考えでいくと、「動機」にあたります。このあたり、作詞作曲編曲を手掛けたササキトモコさんのブログ(ごらトモ 一ノ瀬志希「秘密のトワレ」発売!)はやっぱり飛ばせませんね。〈あたし〉は、1番に出てくる媚薬を作るほどの頭脳を持つ人物なのですが、やっぱり心はまだ少女だったわけです。

〈あたし〉は恋をしたのでした。しかし少女にとってその恋はじれったく、やがて関係の成熟に費やす時間を無駄だと感じてしまう。独占して征服したい気持ちが限界に達し、そして”そういうことができてしまう”〈あたし〉は、ついに行動に移ってしまう。その行動というのが、1番で語られた部分だったのです。ここでようやく、1番の歌詞が”事件”だったことがわかります。

 

~Cメロ~
清浄なる世界で君とこうなりたかった
あぁ もう戻れない ごめんね

  ここは実際に歌で聞くと14~5秒なのですが、たったこれだけで、〈あたし〉の人物像は一気に深みを増したと思います。ササキトモコさんはこの部分を「もっと普通の方法でこうなりたかったな、ってちょっと後悔するところも少女。」と残しています。この要約能力すごい。

 1番で「何が起こったか」、2番で「なぜ起こったか」が語られてからのこのCメロは、「この事件は何だったのか・どんな事件だったといえるのか」を語る部分だといえるでしょう。この方向性で行くと「秘密のトワレ」は、語り手=犯人の告白型の形態をとっているようにみえます。恋というものを、合理的な解析と飛躍的な手段で”達成”させた〈あたし〉。完全勝利です。しかしその事実を、たったの15秒で〈あたし〉を少女に仕立て上げることで、どこか物悲しく響く告白へとひっくり返したのです。大どんでん返し。本当に見事だと思います。

~ラスサビ&アウトロ~
my secret eau de toilette
la la love potion 脳下垂体へ届け
瞳孔が開くその瞬間を見せて
my secret eau de toilette
じきに君は falling loveの兆しみせる
恋は化学式 君には きっと狂気の沙汰<crazy things>

 

my secret eau de toilette…

 

 告白を終えた〈あたし〉が口ずさむのは1サビと共通の内容。あとこれは藍原ことみさんの歌い方のブレとして処理しても構わないことだと思いますが、ラスサビの「恋は化学式」部分の最後が上ずっていることで、文字に起こすと「恋は化学式…? 君には きっと狂気の沙汰」のように聞こえます。聞こえたんです。僕には聞こえたんです! 告白ににじむ後悔を知ったうえでなら、ここに疑問符がつくことでふわっと広がる切なさを勝手に感じることができますね。

 アウトロも絶妙なカタルシスを演出してくれますね。歌詞も歌い方もイントロと同じですが、聞こえ方はまったく違います。

 

 「秘密のトワレ」は非常に作り込まれた楽曲です。様々な解釈や要約が可能です。Cメロに注目すればこの曲は「悲恋」になるでしょうし、〈あたし〉の行動や2番で語られた衝動に注目すれば「狂気」にも見えるでしょう。僕がやったのはこの曲単体での歌詞に惚れるという作業でした。その結果、「歌でミステリをやった作品」という、どちらかというと作品内部の解釈というよりは、作品自体が持つ属性に注目してすごく惚れこんでしまうという結果になりました。解釈自体は、ないわけではないので最後のほうにでもちょろっと書こうかと思っています。

 

2、MVについて

 今回のブログではこれについて書きたかったんですよね!

 1では僕が「秘密のトワレ」はミステリができてるのがスゴイって言いましたが、ここにもうちょっと僕が感じてるスゴイところ、「秘密のトワレ」は語り手と聞き手の居場所が厳密に定められている曲でもある、が加わります。

 「秘密のトワレ」に登場する人物は、〈あたし〉と〈君〉の二人です。しかしそこに、”「秘密のトワレ」という歌”に関わる人物として、この歌を歌う・事件を告白する”語り手”と、それらを聞き届ける”聞き手”という二つの役割を設定することができます。語り手と〈あたし〉は同一人物として構わないでしょう。〈君〉というのは、〈あたし〉が恋してしまった相手であり、〈あたし〉の媚薬の犠牲者となった作中人物です。こうすると、「秘密のトワレ」の告白体っぽさがより整うような気がします。作中に登場する〈君〉は、いま〈あたし〉が語り掛けてる”君”じゃないよーとすることで、語っているという現実と語られている内容とをしっかり切り離せるわけですね。まぁでも普通は現実との切り離し程度は無意識にしているものです。

www.nicovideo.jp

  デレステのMV(これは添付してもよかったのかな…?)。個人的にはほとんど完璧でした。僕は一ノ瀬志希というアイドルと、「秘密のトワレ」という楽曲を、切っても切れない関係にあるとしつつも切り離して考えています。「秘密のトワレ」は「秘密のトワレ」というひとつの世界として、一ノ瀬志希はそれを伝えてくれるものにすぎないという感じです。なので、「秘密のトワレ」MVの最初と最後が”真っ暗闇”なことが本当に救いでした。あのステージはお話として、現実から独立してる必要があるんです。そういう意味では、イントロとアウトロを一部分ずつでも採用してくれたのもうれしかったです。

 画面作りもずっと暗い! 特に「麝香に隠した秘密の分子 気が遠くなるほど 吸って 君はあたしに夢中になる」の部分なんて、うつろな瞬きのエフェクトやどんどん落ちていく明るさによってばっちり演出されてますね。

 サビの、ターンを見下ろす構図! うまくいえないけど好き! なんだか急に曲から放り出されたような感じがしますね。

 サビあとの手首同士をこすり合わせてすっと口元に寄せる動作は、香水のにおいを確認しているようにも見えます。

 あと何よりもやはり最後です最後、徐々に暗くなってゆく画面に、語り手はどこか物悲しそうな表情を浮かべ、消える間際にウィンク、そして瞳が閉じられ、完全にシルエットになって終わる。ちゃんと終わってくれる。

 なんといってもあのどこか悲しそうな表情が見事だと思います。あの表情の意味、フルを聴いて、Cメロを聴いていないとわからないと思うんですよね! 作った媚薬で狙った相手を手に入れられたらしい。それが1番の歌詞でなんとなくわかる情報です。でもそれだと、あの表情にはつながらないんですよ。だって〈あたし〉は、状況だけ見ると完全勝利したはずなのですから。あのどこか悲しそうな表情を、フルサイズをまだ聞いてない人はどう感じるんでしょう。ただ、知らなくても、きっと違和感にはならなそうだと感じますね。

 

 個人的にはデレステMVは大満足でした。エロティックで、危なくて、狂気的で、でもそういった狂気を感じることができるのは、MVで”エフェクトつきの映像”を見たわれわれしかいないと思います。あの世界でLIVEパフォーマンスとして聞いている人には、かわいらしくて妖しいダンスしか見ることができない。このエントリーの冒頭で、フルサイズを知っている人にも知らない人にも何かを残すMVであると言いました。意味を知っていればわかる部分、そして知らなくても知らないなりに楽しめる部分、いずれもが高いレベルで融合した名MVだと僕は感じました…。

 

3、そのほかまだまだ気になるところはたくさん

 ここからは、ほとんど妄想です。

 前のブログでも書いたのですが、歌詞カードを見ていてずっと考えてる部分。

1番サビ「恋は化学式 君には きっと狂気の沙汰」

ラスサビ「恋は化学式 君には きっと狂気の沙汰」

 やっぱりここなんです。些細な事ですが、やっぱりここのスペースの全角と半角が気になるんです。基本的には前にかいたことと変わっていません。まったくおなじ歌詞に出てくる二つの「君」は、実は違うひとを指しているのではないか説候補はふたつです。

 1、作中に登場する、〈あたし〉による犠牲者となる〈君〉。

 2、作品には登場しない、〈あたし〉の告白を聴いている聞き手たる「君」。

 

 1番サビにおける「君」は、聞き手であるわれわれです。「何が起こったか」が語られる1番では、語り手の語りのベクトルというものがずっと外=聞き手に向いています。〈あたし〉というギフテッドの少女性(もっと普通の恋がしたかったと後悔する部分)を知らないわれわれにとっては、意中の相手を媚薬で手に入れる行動は、狂気の沙汰に映るのでしょうね、という歌詞だと思います。

 対してラスサビにおける「君」は、〈君〉です。Cメロを、こういう語り手の語りのベクトルがどうなっているかという視点で読むと、少し違ったものが見えてくる気がします。

清浄なる世界で君とこうなりたかった
あぁ もう戻れない ごめんね

 ここに、”聞き手”の存在・居場所は、ないのではないでしょうか。

 すなわちCメロは、(前のブログの繰り返しになりますけど)〈あたし〉に少女性を与えて世界観をハッキリさせると同時に、聞き手を世界から閉め出す役割を持ったパートなのだと言えます。もともと1番でなされた状況説明も、大部分が〈あたし〉の解説という形、つまり実際にカメラで確認できるものではなく、〈あたし〉の想像がおおいに入った世界しか観測できないものではありました。もともと存在の薄かった聞き手が、Cメロで閉め出されるのです。

 そして迎えるラスサビは〈あたし〉だけの世界。「君には きっと狂気の沙汰」と語り掛ける相手は、〈君〉です。暴走した恋という現象を合理的に考えられる頭脳と、その現象を再現させられる才能は、少女の完全勝利につながりました。しかしすべてが終わって少女の心に残ったのは、ほんの少しの後悔でした。飛躍的手段で〈君〉を支配してしまった恋は、その異常なプロセスから、むき出しの狂気にも見えるかもしれない。けれどそんな〈あたし〉もやっぱり少女なんですよね。そしてそんな〈あたし〉の少女性を知るのは、世界の外側にいる”聞き手”しかいない。あの世界には誰もいないのです。悲しい…。

 

8/15追記

 デレステMVのサビに、「恋は化学式」で右手を振り上げる振付があります。人差し指を上方向に向け、まるで一等賞を取ったみたいなあのポーズ。ずっと怪しい雰囲気で進行してきたMVに、アクセントとも異質ともとれる挿入がなされている(と僕が感じた)この振付は、この「1番とラスサビで語り掛ける『君』が違う説」でいくと、〈あたし〉の「勝利宣言」といえるのではないかと思います。1番の時点で語り掛ける相手は、曲世界の外側にいる”聞き手”です。同時に、”聞き手”はこの段階ではまだ”語り手”=〈あたし〉の背景・心理状態を知りません。Cメロで判明するその真実に対する布石としての「勝利宣言」として、あの手を振り上げる振付はあるのではないでしょうか。またそうであれば、その振付の直後の「君には きっと狂気の沙汰」における微妙な表情も、「この勝利宣言も、”聞き手”である”君”には狂気の沙汰に見えるだろうね」という諦観ともとれる…とれたりするんじゃないかなって思うわけです。

 まぁ諦観云々はともかく、あの振り上げる指を「勝利宣言」としたら、自分の解釈的にしっくりきたという追記でした。

追記ここまで

 

おわりに

 「秘密のトワレ」はめちゃくちゃすごいと思います。すごいから好きなのか、好きだからすごいと思うのかはわかりません。ですが、こんなこっぱずかしい長文を書いてしまう、そのことを可能にしてしまうだけのパワーと、そういうことに耐えられるだけの耐久力のある楽曲であることは確かでしょう。とりあえず、これを書いている時間はすごく楽しかった。「秘密のトワレ」最高~~~~~~↑↑↑!!!!

 

 トワレ関連でまた何か語りてェッッッッッッッッッッッッてなったときはこの記事に追記する形で何か残すんじゃないでしょうか。たぶんそうなると思います。

 

 このブログも4記事目になりました。今のところ全部シンデレラガールズ関連ですね。まさかのトワレ連続2記事目です。イデオロギーとかどこそこにいった~系のつれづれなるままに書くタイプが苦手なのかもしれません。次はどんな記事を書くんでしょう。楽しみ。震えて眠れ。